「作業日報や点検表を紙で回していて、集計のたびにExcelへ打ち直している」「DXを進めたいが、何から手を付ければいいかわからない」と悩んでいる中小製造業の経営者や現場責任者の方は多いのではないでしょうか。
中小企業の製造業がDXに取り組むなら、現場の紙を1枚の帳票からデータに置き換えるペーパーレス化が始めやすい方法です。目的は紙をなくすこと自体ではなく、手書き・転記・集計の手間を減らすことです。
この記事では、ペーパーレス化とDXの関係、現場に残りやすい紙、DXにつなげる5つの手順、やり方の選び方、つまずきやすい点、使える補助金を解説します。富山で業務システムを開発しているシーズプランニングの、製造業向けの事例も紹介します。
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製造業のペーパーレス化とは
製造業のペーパーレス化とは、現場で紙に書いて回している記録や指示を、タブレットやパソコンで入力・確認できる形に置き換えることです。
紙をスキャンしてPDFで保管するだけでは、手書きや転記の手間は残ります。現場の負担を減らすには、記録する時点からデータで入力する形にするのがポイントです。
- 紙からExcelへの転記がなくなる
- 過去の記録を検索して探せる
- 紙の使用枚数が減る
製造業のペーパーレス化とDXの関係
DXは、次の3つの段階に分けて考えられます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| デジタイゼーション | アナログ・物理データのデジタルデータ化 |
| デジタライゼーション | 個別の業務・製造プロセスのデジタル化 |
| デジタルトランスフォーメーション(DX) | 組織全体の業務・製造プロセスのデジタル化と、顧客起点の価値を生むための事業やビジネスモデルの変革 |
紙の記録をデジタルデータにすることは、最初のデジタイゼーションの段階にあたります。集計や在庫管理など、個別の業務の流れまでデジタル化すると、次のデジタライゼーションの段階です。
いきなり全社で取り組むより、重点となる部門で小さく始め、成功例を作ってから段階的に全社へ広げる進め方が取り組みやすいでしょう。
とくに中小企業の製造業の現場に残りやすい紙は?
製造業の現場では、次のような紙が日常的に使われています。
- 作業日報
- 点検表・チェックシート
- 検査記録
- 製造指示書
- 図面・作業手順書
- 入出庫・棚卸の記録
このうち、転記や集計に時間がかかっている紙ほど、データに置き換えたときに手間が減ります。

中小企業の製造業のペーパーレス化をDX化する5つの手順
製造業のペーパーレス化を進める手順は、次のとおりです。
- 現場の紙を洗い出す
- 最初に置き換える紙を1つ決める
- 目的を決めてやり方を選ぶ
- 端末と運用のルールを決める
- 1か所で試してから広げる
ステップ1:現場の紙を洗い出す
最初に、社内で使っている紙の帳票をすべて書き出します。帳票ごとに、誰が書いて誰が見るのか、1日に何枚使うのか、書いたあとどこに転記しているのかを、現場の担当者に直接聞いて整理します。
ステップ2:最初に置き換える紙を1つ決める
洗い出した紙の中から、最初に置き換えるものを1つ選びます。選ぶ基準は、転記や集計に時間がかかっていて、現場の抵抗が少なそうなものです。
全工程を一度に変えようとせず、特定のラインや、設備の日常点検表のような1枚の帳票から小さく始めます。
ステップ3:目的を決めてやり方を選ぶ
「点検の記入漏れをなくしたい」「日報の集計時間を減らしたい」のように、ペーパーレス化で何を良くしたいのかを決めて、現場と共有します。
目的が決まったら、やり方を選びます。市販の現場帳票アプリを使う、クラウドアプリ(kintoneなど)で自社用の画面を作る、自社の業務に合わせてシステムを開発する、の3つが主な選択肢です。
ステップ4:端末と運用のルールを決める
現場で入力する端末と、データの扱い方を決めます。決めておくのは、次のような項目です。
- 入力に使う端末(タブレット・スマホ・パソコン)と台数
- 端末を誰が管理するか
- データの保存先とバックアップの方法
ステップ5:1か所で試してから広げる
まずは選んだ帳票を、1つのラインや1つの部署で試験的に運用します。実際に入力する人から「入力しにくい項目」「紙のほうが早い場面」を聞き取り、画面や項目を直してから、ほかの帳票や部署に広げます。
帳票が増えてきたら、次は在庫や受注など関係する業務ともデータをつなげる段階です。部署をまたいで情報をつなぐと、組織全体の業務のデジタル化に近づきます。
中小企業の製造業のペーパーレス化のやり方
現場の紙をデータに置き換えるやり方は、大きく3つに分かれます。
| やり方 | 合いやすいケース | 確認しておくこと |
|---|---|---|
| 市販の現場帳票アプリ | 点検表・チェックシートなど、帳票を1枚ずつ置き換えたい | 今の帳票の項目や承認の流れを、アプリの設定で再現できるか |
| クラウドアプリ(kintoneなど) | 社内に画面を作れる担当者がいる | 作った人が異動・退職したあと、誰が直すか |
| 自社に合わせたシステム開発(ファイルメーカーなどの開発ツールやプログラミングによる開発) | 在庫・受注・製造指示など、複数の業務をつなげたい | 開発後の改修や保守を誰に頼むか |
判断のポイントは、置き換えたい紙が1枚で完結するか、ほかの業務とつながっているかです。点検表のように記録して終わる紙なら、市販のアプリで足りることがあります。
一方で、製造指示書の内容が検査記録や出荷のラベルにも使われるように、1つの情報が複数の紙に書き写されている場合は、帳票を1枚ずつ置き換えても転記は残ったままです。この場合や、将来ほかの業務ともデータをつなげたい場合は、情報を一度登録すれば関係する帳票や画面に反映される仕組みを、自社の業務に合わせて作るほうが手間を減らせるでしょう。
自社の業務に合わせたシステムを作る方法の1つが、「ファイルメーカー(FileMaker)」です。ファイルメーカーは在庫や顧客、案件の管理など、自社の業務に合わせたアプリを作れるのが特徴。また、ファイルメーカーで作ったシステムは、iPadやiPhoneの無料アプリ「FileMaker Go」でも使えます。現場ではタブレットで入力し、カメラで撮った写真を記録に添付したり、バーコードを読み取ったりもできます。
弊社シーズプランニングは、創業時からファイルメーカーでの開発を手がけてきた会社です。Claris社のパートナー企業として、製造業の部品の入出庫や棚卸を管理するシステムも開発しています。iPadやiPhoneを使って現場で入力するシステムを検討している場合は、ぜひシーズプランニングにご相談ください。
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製造業のペーパーレス化でつまずきやすい点
中小・中堅の製造業のペーパーレス化は、取り組んでいても途中で止まりやすい傾向があります。LINE WORKSが従業員1,000名未満の製造業で働く225名を対象に行った調査では、80.9%の企業がペーパーレスに取り組んでいる一方、ほぼすべての業務で完了しているのは8.9%でした。
取り組んでいる企業のうち44.2%は、「思うように進んでいない・停滞している」「紙に戻すことを検討している」「縮小している・辞めた」のいずれかと回答しています。
取り組みを縮小したりやめたりした理由には、システムへの入力や確認で新たな工数が増えたこと、想定より業務の負担が減らなかったことが挙がっています。今後の方針として最も多かったのは、必要な紙業務は残しつつ、AI-OCRなどの読み取りツールでデジタル化を進めるという回答(50.7%)でした。
製造業のペーパーレス化でつまずきやすいのは、次の2つの点です。
- 紙をなくすこと自体が目的になる
- 入力の手間が紙より増える
紙をなくすこと自体が目的になる
「紙を何枚減らしたか」だけを目標にすると、現場の手間が減ったかどうかが見えなくなります。紙をすべてなくす必要はありません。梱包に貼るラベルのように紙で使うほうが便利なものは、入力したデータから印刷する形にすれば、手書きと転記をなくせます。
入力の手間が紙より増える
入力する項目が多い、画面の切り替えが多いといった仕組みだと、現場は紙のほうが早いと感じます。タップや写真撮影だけで入力が済む、シンプルな画面にすることが大切です。
中小企業の製造業がペーパーレス化・DXで使える補助金(富山県)
ペーパーレス化やDXのためのシステム導入には、国や県の補助金を使える場合があります。
| 補助金 | 補助額・補助率 | 主な条件 |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金(通常枠) | 5万円〜450万円 1/2以内(条件を満たすと2/3以内) | 事務局に登録されたITツールが対象 登録された「IT導入支援事業者」と組んで申請 |
| 富山県中小企業トランスフォーメーション補助金(DX枠) | 100万円〜500万円 中小企業1/2・小規模企業2/3(賃上げで引上げ) | 県内に本社がある中小企業など 労働生産性3%以上の向上、事業場内の平均賃金(時給)10円以上の引上げなどが必須 「とやまDXパートナー」に登録されたITベンダー等の支援を受けて申請 |
デジタル化・AI導入補助金は、旧IT導入補助金にあたる国の制度です。対象は事務局にあらかじめ登録されたソフトウェアやクラウドサービスなので、使いたいツールが登録されているかを先に確かめる必要があります。
富山県内に本社がある中小企業なら、富山県中小企業トランスフォーメーション補助金も選択肢になります。専用ソフトウェアや情報システムの導入、クラウドの利用にかかる経費が対象です。ただし、タブレット端末やパソコンなどの汎用品は原則として対象外です。
第3次の募集はすでに締め切られているため、次の募集は富山県や富山県新世紀産業機構の発表で確認してください。
【実績紹介】シーズプランニングの製造業向けシステムの事例
弊社シーズプランニングでは、中小企業の製造業をはじめとする現場の記録や帳票を扱う業務システムを開発しています。ここでは、製造の現場に関わる事例を3つ紹介します。
部品の入出庫と棚卸の管理(製造業)
部品の入出庫と棚卸をFileMaker Cloudで管理するシステムです。部品台帳と社員の情報を登録し、入出庫と棚卸の数量をシステムに入力する仕組みです。
在庫数の警告表示とメール通知の機能があります。報告用の帳票も、入力したデータから出力できます。
実績紹介はこちら:部品の入出庫・棚卸管理システム
QRコード付きかんばんの発行(製造業)
部品の社内管理と、配送先の関連会社のシステムとの連携に使う、QRコード付きのかんばん(帳票)を発行するシステムです。環境はFileMaker Proで、管理する部品の一覧と印刷履歴を参照する機能があります。
実績紹介はこちら:QRコード付きかんばん発行システム
製造指示と各工程の帳票の管理(印刷業)
製造指示や受注に関する情報を管理し、各種の帳票を印刷するシステムです。環境はFileMaker Cloudです。
受注時の製造指示の登録に加え、製造指示書、各工程の検査チェック表、梱包に貼るラベルなどを印刷できます。工程管理システムとの案件情報の連携にも対応しています。
実績紹介はこちら:製造指示・帳票管理システム
市販のアプリでは自社の帳票の流れが再現できないと感じている場合は、シーズプランニングにご相談ください。
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まとめ:中小企業の製造業のペーパーレス化は1枚の帳票から始めてDXにつなげる
中小企業の製造業がDXを進めるなら、まずは現場の紙を洗い出し、転記や集計に手間がかかっている帳票を1つ選んで、小さく試すところから始めます。
1つの帳票で手間が減ったら、次はほかの帳票や、在庫・受注など関係する業務ともデータをつなげる段階です。
やり方は、置き換えたい紙が1枚で完結するか、ほかの業務とつながっているかで選びます。紙をゼロにすることより、手書きと転記をなくすことを目標にすると、現場の協力も得やすくなります。
有限会社シーズプランニングでは、WEBシステム開発やFileMakerを活用した業務システム開発を長年にわたり手がけています。
私たちが大切にしているのは、「超現場主義」の姿勢です。お客様の「IT部門」として現場に伺い、現場で困っている紙の流れを直接お聞きするところから始めます。市販のソフトに業務を合わせるのではなく、長年培ってきた現場の流れに合わせたシステムを、スモールスタートで作り、使いながら育てていきます。
また、圧倒的なフットワークの軽さと、柔軟な開発対応も私たちの強みです。「ちょっとした相談をすぐにしたい」「困ったときにすぐ駆けつけてほしい」といったご要望にも、地元・富山に根ざした企業だからこそのスピード感でお応えします。
「どの帳票から手を付ければいいかわからない」「DXを何から始めればいいか相談したい」といった段階でのお問い合わせも歓迎しています。どうぞお気軽にご相談ください。
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