「FileMaker(ファイルメーカー)って名前は聞くけど、具体的に何ができるソフトなの?」「料金は高いの?買い切りはできる?」「今から導入するのは時代遅れ?」と気になっている人は多いはずです。
結論として、FileMakerは業務に合わせた独自の管理アプリを、プログラミング経験が浅くても作れるデータベース開発プラットフォーム、ローコードツールです。
Apple傘下のClaris社が提供しており、顧客管理・在庫管理・受注管理など、Excelでは運用に限界が出てくる業務を「自社専用アプリ」に置き換えられます。
この記事では、FileMakerの基本・できること・料金プラン・Excelとの違い・時代遅れと言われる理由・代替ソフトまで、導入を検討するときに知っておきたいポイントをまとめて解説します。
FileMaker(ファイルメーカー)とは?Clarisが提供するローコードツール
FileMakerは、業務アプリやデータベースを独自に構築できる開発プラットフォームです。正式名称は「Claris FileMaker」で、Apple傘下のClaris International Inc.が開発・販売しています。
一般的なプログラミング言語でゼロからシステムを作るのではなく、画面上で項目や操作をドラッグ&ドロップしながら直感的に組み立てていく「ローコード開発」に近いアプローチが特徴です。
SEから社内の情シス担当、あるいは毎日業務を行っている現場のスタッフ自身まで、幅広い人がプログラミングの知識不要でアプリを自作できるようになっています。
Claris FileMakerの主な製品ラインナップ
FileMakerは、用途に応じていくつかの製品に分かれています。
- FileMaker Pro
-
アプリ開発や日常利用を行うデスクトップ版
- FileMaker Server
-
社内やデータセンターで自社運用するサーバー版
- FileMaker Cloud
-
Claris社が運用するクラウド版
- FileMaker Go
-
iPhone・iPadでアプリを利用するためのiOSクライアント
アプリを作るのはFileMaker Pro、それを社内やクラウドに置いて複数人で使うのがServerまたはCloud、外出先のiPhone・iPadから使うのがGo、という役割分担です。
Clarisはどのような会社か
Claris International Inc.は、Appleの完全子会社として1998年に設立されたソフトウェア企業です。元々は「FileMaker, Inc.」という社名でしたが、2019年にClarisへと改称し、FileMakerシリーズ以外の製品も扱うようになりました。本社はアメリカ・カリフォルニア州にあり、日本法人としてClaris Japanも展開しています。
FileMakerで何ができる?代表的な用途
「市販ソフトに合わせて自社の業務フローを無理に変えていく」・・・そんな時代はもう終わりに近づいています。FileMakerが得意とするのは、それぞれの会社・部署の業務フローにピタリと合わせた、オーダーメイドの管理アプリ作りです。
「市販のパッケージソフトを導入したけれど、うちの会社のやり方には合わなかった」「結局Excelに戻ってしまった」という経験はありませんか? FileMakerなら、長年培ってきた独自のルールや、紙・Excelで行っている複雑な管理も、そのまま使いやすい形でアプリ化できます。
市販ソフトに自社の業務を合わせるのではなく、業務にシステムを合わせる発想で導入できるのがFileMakerの強みです。市販ソフトでは届かなかった「かゆいところに手が届く」、自社に最適な業務システムが実現できます。
よくある業務アプリの例
- 顧客管理・案件管理
- 受発注・見積書・請求書の作成
- 在庫・設備・資産管理
- 勤怠・シフト管理
- 医療・介護の患者情報管理
- 教育機関の成績・出欠管理
紙やExcelで運用している業務を置き換えるケースが多く、中小企業から大企業の一部部門まで、幅広い規模で使われています。
FileMakerならではの機能
単なる表の代わりとしてだけでなく、業務アプリに必要な要素を一通り備えているのもFileMakerの魅力です。
- ドラッグ&ドロップでの画面デザイン
- 複数テーブルを関連付けるリレーション機能
- ボタン一つでスクリプトによる処理自動化
- REST APIや他システムとの連携
- iPhone・iPadからの入力や閲覧
とくにiOSとの親和性は高く、現場担当者がタブレットで入力し、オフィス側がリアルタイムに確認するといった使い方もしやすい作りです。
FileMakerとExcelの違い
「結局Excelで十分では?」と感じる人は多いですが、両者は目的が異なります。Excelは計算や集計のための表計算ソフト、FileMakerはデータを蓄積し複数人で同時運用するためのデータベースアプリ、とイメージするとわかりやすいでしょう。
| 比較項目 | Excel | FileMaker |
|---|---|---|
| 得意分野 | 表計算・集計・分析 | 業務アプリ化・データ運用 |
| データ量 | 数千〜数万行で動作が重くなりがち | 大量データでも安定 |
| 同時編集 | 基本的に苦手(共有ブックは制約あり) | 多人数での同時編集が前提 |
| 一元管理 | コピーが乱立し「どれが最新版か分からない」状態になりがち | 全員が同じデータベースを見るため、常に最新情報に一元化される |
| 検索のしやすさ | ファイルやシートをまたいだ検索が困難。目視に頼りがち | 「顧客名から過去の履歴を一発で出す」など、関連データの検索が容易 |
| 入力画面 | セル単位の表中心 | フォーム画面を自由に設計可能 |
| モバイル利用 | 閲覧中心 | iOS専用アプリ(FileMaker Go)で、現場からカメラや入力運用がしやすい |
| 自動化 | マクロ・VBA | 直感的なビジュアル操作で設定できるスクリプト機能 |
一人で数値をこねくり回すならExcelが便利ですが、複数人で同じデータを継続して更新していく業務になるとExcelでは運用が破綻しがちで、そこがFileMakerの出番になります。
FileMakerの料金プランと買い切りの可否
FileMakerはサブスクリプション(年間ライセンス)での導入が主流ですが、現在でも買い切り版(永続ライセンス)の新規購入は可能です。
料金プランは「利用する機能の違い」ではなく、「自社サーバーかクラウドか」「特定のユーザー数か、不特定多数の同時接続か」といった運用環境に合わせて選択します。
年間ライセンスを選ぶ場合、料金は1ユーザーあたりの月額換算(支払いは年単位)となります。
プランの考え方
最低ユーザー数や年間契約の最低期間など細かい条件があるため、正確な金額は必ずClaris公式サイトの最新の価格表を確認してください。為替や改定のタイミングで変わることもあります。
個人利用や買い切りについて
すでに過去のバージョンの永続ライセンス(買い切り版)をお持ちの方は、そのバージョンの範囲で引き続き利用可能です。また、新しいバージョンへ移行したい場合、必ずしもサブスクリプションへ乗り換える必要はなく、「アップグレード版」の購入や保守更新によって買い切りのまま最新機能を使うことも可能です。
これから個人で試してみたいという方は、まずは「45日間の無料評価版(トライアル)」を使うのが最も現実的です。期間中はほぼ全てのフル機能をお試しできます。
なお、本番の業務には使えませんが、「趣味や導入前のテスト、勉強のために長期で安く使いたい」という方には、年間1万円程度で最新環境が使い放題になる「Claris Developer Subscription(開発者向けライセンス)」という制度も用意されています。
FileMakerは時代遅れ?メリットと弱点
ネット上では「FileMakerは時代遅れ」「高すぎる」という声も見かけます。一方で今もなお、多くの企業で使い続けられているのも事実です。両方の面を整理しましょう。
時代遅れと言われる理由
- ノーコード系SaaS(kintoneなど)が台頭し、ライバルが増えた
- Webブラウザだけで完結するツールと比べ、アプリのインストールが必要で敷居が高く見える
- 「ググっても」解決策が出にくい
- 歴史が長いゆえの「古いソフト」というイメージ
- 専門技術者が少なく、属人化しやすい
- サブスク化でランニングコストが目に付きやすくなった
- 学習リソースが他のツールに比べて限定的
それでも選ばれる理由
一方で、作り込みの自由度ではFileMakerが依然として強いという評価も根強くあります。
クラウドツール全盛の時代にあっても、FileMakerが多くの企業で選ばれ続けているのには明確な理由があります。特に「独自の業務フロー」を持つ企業にとって、以下の強みは他のツールには代えがたいものです。
- 現場のやり方を一切変えずに済む「究極のオーダーメイド」
「システムに合わせて業務を変える」必要はありません。入力画面の見た目から、裏側の処理の流れまで、長年慣れ親しんだ自社の独自のフローにピタリと合わせてシステムを作り込むことができます。 - クラウドに頼らない「社内サーバー(オンプレミス)運用」が選べる
近年のシステムは「データはすべてクラウド(インターネット上)に保存する」のが主流ですが、FileMakerは自社内にあるサーバーで動かすことも可能です。絶対に外部へ出したくない図面データや機密情報を持つ製造業など、セキュリティ基準が厳しい企業でも安心して導入できます。 - iPhoneやiPadがそのまま「現場の強力な武器」になる
モバイル環境との相性は群を抜いています。iOS専用の無料アプリを使えば、現場のiPadから「不良品の写真を撮ってそのままデータベースに保存」「商品のバーコードを読み取って在庫管理」といった高度な運用が、驚くほど簡単に実現します。 - 過去の資産をムダにしない「互換性の高さと歴史」
FileMakerには20年以上の長い歴史と稼働実績があります。そのため「10年前にFileMakerで作った古い顧客管理システム」であっても、最新バージョンへ比較的スムーズにデータを引き継ぎ、現代風のシステムとして蘇らせることが可能です。長年蓄積した会社の情報資産を無駄にしません。
注意しておきたい弱点
- コストの壁:少人数には割高で、規模拡大で費用が膨らむ
FileMakerをチームで利用する標準プランは「最低5ユーザーから(年間約12万円〜)」という縛りがあり、数人の部署や個人利用には費用対効果が合いません。また、利用者が増えれば増えるほどライセンス費用がそのまま積み上がるため、全社導入の際にはコストが大きなネックになります。 - 開発環境の縛り:「現場のiPadでちょっと修正」はできない
Webブラウザだけで開発も利用もできる最新のクラウドツールと違い、アプリの画面や仕組みを変更するには、パソコンに専用ソフト(FileMaker Pro)をインストールする必要があります。「現場でタブレットを使っている最中に気づいた項目を、その場ですぐに追加する」といった身軽な修正はできません。 - 属人化のリスク:「FileMaker独自のクセ」の習得が必要
直感的に作れる反面、複雑な処理を組もうとするとFileMaker独自の「スクリプト(プログラム)」や「リレーション(データ連携)」のルールを学ぶ必要があります。一般的なプログラミング言語との互換性がないため、「社内で作った担当者が辞めると、他の人には中身が解読できなくなる」という属人化(ブラックボックス化)のリスクを常に抱えることになります。
「時代遅れかどうか」は、業務に合う作り込みをしたいのか、ブラウザで手軽に動くSaaSで十分なのかで判断が変わります。オーダーメイド志向が強い現場ほどFileMakerの価値は残っています。
FileMakerの使い方・はじめ方
これからFileMakerを触ってみたい人は、いきなり有償契約をせずに無料トライアルから始めるのが安全です。大まかな流れは次のとおりです。
- Claris公式サイトで無料トライアルを申し込む
- FileMaker Proをダウンロードしてインストール
- 用意されている「Starter App(テンプレート)」で動きを確認
- 自分で簡単なテーブルとレイアウトを作ってみる
- スクリプトやリレーションで機能を拡張する
学習リソースとしては、Claris公式のオンラインドキュメント・チュートリアル動画、国内の解説書籍、Claris認定パートナーが公開しているブログや勉強会などがあります。独学でも始められますが、本格導入を検討している会社は認定パートナーへの相談も選択肢になります。
FileMaker Pro 2025について
FileMaker Proは毎年のようにメジャーアップデートが提供されており、最新版の機能やリリース時期はClaris公式サイトの製品ページで確認するのが確実です。対応OS(macOS/Windows)のバージョンは世代ごとに変わるため、導入前にサポート環境を必ず確認しておきましょう。
FileMakerの代わりになる主なソフト
「FileMakerを使うほどでもない」「もっと手軽にWebベースで使いたい」という場合に候補となる代替ツールを整理しておきます。
kintone(サイボウズ)
国内で最も比較されやすいサービスです。Webブラウザだけで業務アプリが作れる点・日本語サポートが手厚い点が強みで、FileMakerからの乗り換え先としてもよく名前が挙がります。一方で、レイアウトの自由度や複雑な帳票処理はFileMakerのほうが作り込みやすい傾向があります。
Microsoft Access
Windows環境で昔から使われている定番のデスクトップデータベース。Microsoft 365と組み合わせて使えるのは魅力ですが、モバイル運用やマルチデバイス展開はFileMakerのほうが得意です。
Airtable・Notion
海外発のクラウド型ツール。シンプルで軽いデータ管理や、チームのナレッジ・タスク管理に向いています。業務システム級の作り込みは得意ではないため、個人や小チームの使い方であれば選択肢になります。
完全無料のフリーソフト
「FileMakerと同等で無料」というソフトはほぼ存在しないのが実態です。フリーのデータベースとしてはLibreOffice Baseなどがありますが、業務運用に耐える作り込みや同時利用を考えると、多少のコストは見込んでおいたほうが現実的です。
FileMakerに関するよくある質問
FileMakerの料金はいくらですか?
プランやユーザー数、契約年数によって変わります。サブスクリプションの最新価格はClaris公式サイトの料金ページで確認するのが確実です。
FileMakerは買い切りできますか?
はい、現在でも新規で買い切り版(永続ライセンス)を購入することが可能です。
ただし、現在は初期費用を抑えられるサブスクリプション(年間ライセンス)での導入が主流となっています。
買い切り版の場合、一度購入すればそのバージョンをずっと使い続けることは可能ですが、「初年度の導入費用がサブスクリプションに比べてかなり高額になる」点に注意が必要です。また、2年目以降も最新のOSに対応させたり、最新機能にアップデートしたりし続けるには、毎年の「保守契約(メンテナンス)」の更新費用が別途かかります。
なお、過去のバージョンの永続ライセンスをすでにお持ちの方は、そのバージョンの対応環境(OSなど)の範囲内であれば、そのまま使い続けることができます。
FileMakerとExcelはどう使い分けますか?
集計・分析・一時的な資料作りはExcel、複数人で継続的にデータを蓄積・更新する業務はFileMaker、が基本的な棲み分けです。Excelで共有ブックが崩壊するような運用になってきたら、FileMaker化を検討するタイミングといえます。
FileMaker Goは無料で使えますか?
iPhone・iPad用のFileMaker Goは、App Storeから無料でダウンロードできます。ただしアプリ本体(FileMaker Pro等で作られたソリューション)を動かすには、対応するサーバーまたはProライセンスが必要です。
FileMakerは廃止される予定はありますか?
現時点でClarisから製品廃止のアナウンスは出ていません。毎年のようにバージョンアップが続いており、サポートポリシーに沿って古いバージョンから順に提供が終わっていく運用です。最新の対応バージョンや提供終了予定は公式のサポート情報で確認してください。
まとめ:FileMakerは独自の業務フローを持つ現場に有効な選択肢
FileMakerは、Apple傘下のClaris社が提供するローコードのデータベース開発プラットフォームです。顧客管理や在庫管理など、Excelや紙の運用では限界を感じる業務を、自社専用の使いやすいアプリに置き換えることができます。
料金体系は初期費用を抑えられるサブスクリプション(月額換算)が主流ですが、企業の運用方針に合わせて永続ライセンス(買い切り)を選ぶことも現在でも可能です。
新しいクラウドツールが次々と登場する中でも、「業務フローへの柔軟な作り込み」「iPadやiPhoneとの連携の強さ」「社外にデータを置かないオンプレミス運用」といったFileMakerならではの強みは健在です。
「Excelでの管理に無理が出てきた」「他のクラウドツールでは自社の複雑な業務に合わなかった」という場合には、十分に導入の候補となります。まずは45日間の無料トライアルを利用して、自社の業務にフィットするか実際の使い勝手を試してみるのがおすすめです。
富山の有限会社シーズプランニングでは、FileMakerを活用したシステム開発や日々の運用サポートを行っています。
「今のExcel管理に限界を感じている」「自社の業務に合うかまずは聞いてみたい」といったちょっとしたご相談も大歓迎です。ぜひお気軽にお声がけください。
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